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プロジェクトの背景
CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展に伴い、自動車業界は百年に一度と言われる大変革期の只中にあります。特にカーエレクトロニクス分野においては、ソフトウェアの大規模化と複雑化が加速度的に進んでおり、複数のプロジェクトを横断的に統制するPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の重要性がかつてないほど高まっています。今回ご支援したクライアント企業様は、国内屈指の規模を誇る大手総合カーエレクトロニクスメーカー様です。同社では次世代製品開発の確実な遂行を目指し、全社的なプロジェクト管理体制の強化を目的にPMO部門を新たに発足させました。しかし、組織としての管理機能が十分に立ち上がらず、開発現場の実績とマネジメントの期待との間に大きな乖離が生じていました。
クライアントが抱える課題
新設されたPMO部門が直面していた最大の課題は、プロジェクトマネジメントに関する組織的な知見の不足と、それに伴う管理業務の形骸化でした。具体的には、プロジェクト開始時に策定される「プロジェクトマネジメント計画書」が現場の実態に即しておらず、誰も参照しない形だけのドキュメントと化していました。また、定義されたプロセスについても遵守状況を確認する術がなく、現場の裁量に委ねられていました。その結果、初期の見積もりと実際の作業内容が大きく乖離し、プロジェクト後半になって予期せぬコスト増や納期遅延が発覚する事態が常態化していました。さらに、品質担保のためのチェックリストや成果物フォーマットが実際の業務内容と合致しておらず、形を整えるためだけの事務作業が現場の大きな負担となっていました。これらの要因により、経営層や事業責任者はプロジェクトの真の状態を正確に把握できず、迅速かつ適切な意思決定が困難な状況に陥っていました。
弊社が提供したソリューション
エム・ティ・ストラテジーは、大規模プロジェクトのマネジメント経験を豊富に持つシニアコンサルタントチームを投入し、弊社が保有する知的資産を基盤とした包括的な支援を実施しました。まず、形骸化していたプロジェクトマネジメント計画の策定プロセスを刷新しました。単なる書類作成にとどまらず、事業目標と整合した具体的な運営計画への落とし込みを徹底しました。次に、全プロジェクトが共通の基準で動くための「プロジェクト運営ガイド」を作成・展開し、標準的な管理基準を明確化しました。あわせて、現場の負荷を軽減しながら正確な情報を収集できるよう、弊社独自のプロジェクトマネジメントツールを提供しました。これにより、進捗、コスト、リソースの状況をリアルタイムに可視化する基盤を構築しました。また、現場の実態に合わせた新成果物フォーマットの整備や、実効性の高いレビューチェックリストへの再構築を行い、形式的な管理からの脱却を段階的に進めました。
適用による効果
本支援の導入により、同社の主要プロジェクトにおけるマネジメント精度は飛躍的に向上しました。現在では、週次単位で各チームの進捗、コスト、品質、そして潜在的な課題やリスクの状況がタイムリーに吸い上げられる体制が定着しています。特筆すべきは、収集された定量的なデータに基づき、マネジメント側が「次の一手」を適切かつ早期に検討できるようになった点です。従来のような事後対応ではなく、リスクが顕在化する前に予防的な措置を講じることが可能となりました。これにより、プロジェクトの予実乖離の抑制に加え、リソース配分の最適化にも寄与しています。今後は、本プロジェクトで構築した強固な管理基盤に、弊社のAI導入支援ソリューションを掛け合わせることで、過去の膨大なデータから遅延リスクを自動検知する予測モデルの構築を目指します。同社が次世代モビリティ社会のリーダーとして、より強固な開発体制を確立できるよう、引き続き伴走してまいります。


